マックない、ゲーセンない、だが…青森の高校が生徒募集ポスター制作

古賀大己

 全国から生徒を呼び込もうと、青森県立三戸高校(生徒数85人、豊川武伸校長)が、学校や地域の魅力を伝えるポスターを制作した。同校の「クリエイティ部」の部員たちが、プロのクリエーターと共同制作した10枚からは、のびのびとした学校生活の魅力が伝わってくる。

 広い球場で1人ラケットを振る男子生徒のポスター。コピーは「ありあまる出場枠」。ラケットにまたがってジャンプする2人の男子生徒の写真には「インターハイ、行ってきます。」とのコピーが配されている。

 ともに小規模校だからこそ、自分の可能性を試すチャンスがたくさんあることをアピールした作品だ。

 「部活帰り、りんごもらった」のコピーには、田んぼのあぜ道を歩く女子生徒の写真。学校と地域の深いつながりを感じられる。

 ドローンで撮影した橋の真ん中に立つ男子生徒の背景は緑がいっぱいだ。コピーは「マックない、ゲーセンない、(中略)だがしか~し、空気うまい。」。ポスター全体から自然の豊かさがにじみでる。

 ポスターを制作した「クリエイティ部」は、同校が今年度、生徒を全国から募集するようになり、学校の魅力向上の一環で創部した。生徒にデザインと情報発信の力をつけてもらい、地域の魅力をアピールしてもらうのが狙いで、こういった部活は全国的にも珍しいという。

 部員は7人。6月に創部して以降、大阪市のコピーライター、日下慶太さん(47)と県内のクリエーター6人から、マンツーマンで指導を受けながら制作に取り組み、夏休みを使って集中的に作業した。

 日下さんが示したコピー作りの基本は、「シンプルに、飾らずに」。そのうえで、少人数、豊かな自然といった内容を、どう面白く伝えるか、部員とコピーを練り上げた。その後、町内に散らばって写真撮影し、ポスターに思いを結実させていった。

 部員らは「思っていることを実際に文字にするのは大変だった」「こんな田舎でもいいことがある。ぜひ三戸高校に来てほしいです」と語る。

 日下さんは「部員にとってアイデア出しの期間が一番きつかったようだ。難産だったけれど、思った以上に質の高いものができた」と満足そうだ。

 同校は、東京で9月に開いた入学希望者向けのイベントでポスターを披露。三戸町教育委員会によると、来年度から、クリエーターの育成を授業のカリキュラムに加える方針で、より力を入れていくという。

 町教委の櫻井学事務局長は「創造力、情報発信力は将来、仕事をするために問われる力だろう。部員たちにも今回の経験が役に立つと思う」と話した。(古賀大己)…

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