若手研究者支援制度にジェンダーギャップ 採択率、男性が高い訳は

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藤波優
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 優秀な若手研究者が研究に専念できるよう、研究費などを支援する日本学術振興会の特別研究員制度。その採択率は、女性よりも男性の方が高くなっていることを兵庫県立人と自然の博物館の京極大助研究員と宮崎大の和田葉子助教が明らかにした。背景には、どういう事情があるのか。

 この制度は、博士課程の学生や、ポスドク(博士研究員)など若手研究者を対象にしており、採択されれば、月数十万円の研究奨励金や、最大で年間150万円の研究費などの支援が受けられる。

 京極さんらは、博士課程の学生向けの「DC1」「DC2」、博士号取得者が対象の「PD」、海外で研究を行う研究者向けの「海外特別研究員」、産休・育休明けの研究者向けの「RPD」の五つのプログラムで、2017~21年の5年間の採択率を男女別に分析した。

 すると、五つのプログラムすべてで統計的にみて女性よりも男性の採択率が高かった。海外特別研究員で最も差が大きく、男性の採択率が22%なのに対し、女性は17%だった。最も差が小さかったのはDC1で、男性が21%、女性が19%だった。

 RPDは男性の応募が少ないため、誤差が大きくなっていたが、それでも男性の採択率が高いという結果になった。学生を対象としたものよりも、博士号取得後のポスドクなどを対象としたものの方が採択率の男女差は大きくなっていることもわかった。

 海外の先行研究などでも、研究費の採択率に男女差があることが示されており、申請者の名前で性別を推測できるため、審査過程でアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が働き、女性よりも男性が優遇されるということが指摘されている。京極さんは「今回も、程度はわからないが、審査過程でのアンコンシャス・バイアスにより、男性が優遇されている可能性がある」と話す。

 ただ、京極さんたちの分析では、審査過程の問題だけではないことも見えてきた。

 例えば、指導教員が男子学生…

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