牛肉は使えず、デザートはあきらめ 物価高のしわ寄せに苦しむ給食

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江戸川夏樹

 9月下旬、宮城県富谷市内の小中学校に向け、1日約6千食の給食を作る学校給食センター。栄養教諭の佐藤勝子さん(52)はその日、10月分の給食の見積もりをつくっていた。

 猛暑の影響などで、野菜類の値段が上がっている。

 「ネギもダメなの?」

 佐藤さんは思わず叫んだ。農林水産省の食品価格動向調査によると、ネギの価格は例年の1・5倍に上昇。業者が入札で示した価格はさらに高かった。

 「(値段が上がっている)ネギやニンジンは給食でよく使う野菜。ニンジンはビタミンAや彩りを考えると減らせない」。ネギを諦めることも覚悟した。

 様々な業者のパンフレットを見比べ、緊急処置として1カ月だけ、市外にあるネギ専門工場からカットネギを買うことに決めた。

 「これまで使っていたのは生ネギ。今は加工されたネギの方が安い」

 だが、そんな矢先、別の問題が起きる。

 物価の急騰で、公立小中学校の給食を作る栄養士が悲鳴を上げています。SNSでは、「給食が貧相になった」という声も。給食を作る現場で何が起きているのか、取材しました。

相次ぐ廃業の連絡 どこから納入すれば

 給食でよく使う野菜の工場が…

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    増田ユリヤ
    (ジャーナリスト)
    2023年10月31日12時0分 投稿
    【視点】

    物価高の影響が給食にも影響していると聞いてはいたが、まさかこんな事態になっているとは。猛暑やエネルギ価格の高騰の影響もあるだろう。日本の給食の素晴らしさは世界が知るところで、海外からの視察も多いと聞く。子どもの教育や福祉に関することが無償化

    …続きを読む
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    藤田結子
    (社会学者)
    2023年10月31日14時1分 投稿
    【視点】

    子どもの給食の内容は地域によって変わります。地方や世界のいろとりどりの料理が出る給食と、全体的に茶色で野菜が少ない給食。後者は都会の経済的に恵まれない世帯が多い地域の給食にみられます。 このような差は、各学校のHPに掲載されている給食

    …続きを読む