複数年にわたって使える国の基金の一部が、長年使われず「塩漬け」のまま管理するための費用だけを計上している問題で、過去には、15年間で1件しか実績がないまま廃止になった基金もあった。需要の過大な見通しが、基金の肥大化を招く一因になっている。
JR尾道駅(広島県尾道市)から瀬戸内海に向けて5分ほど歩くと、日本遺産に指定される尾道水道沿いに、古めかしい建物がみえてくる。2014年3月に開業したサイクリスト向けの複合施設「ONOMICHI(オノミチ) U2」だ。
広島県が、瀬戸内海の島々を結ぶ「しまなみ海道」に向かう拠点として整備した。終戦前に建てられた県営の倉庫を改装し、貸自転車店や自転車持参で泊まれるホテルなどを備える。
かつては貨物船から荷物を降ろし、列車に積み替える場所として使われてきたという。その後使われなくなり、県が整備に着手。造船大手「ツネイシホールディングス」(広島県福山市)のグループ会社「せとうちクルーズ」が運営する。
この事業の運営費に使われたのが、国土交通省の「まち再生基金(地域自立・活性化支援事業)」だ。港湾地域で拠点設備をつくる民間業者を支援する目的で07年にできた基金で、13年度にこの基金から6300万円の出資を受けた。
しかし、21年度に基金が廃…
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- 【視点】
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