骨の浮いた鹿が出られぬ柵、奈良にある事情 「えさ不足」告発の波紋
野生の鹿1200頭余りが生息する奈良公園(奈良市)の一角に、食害対策で捕獲された鹿を収容する柵がある。「特別柵」と呼ばれ、一度収容した鹿を出すことはない。
その処遇をめぐる「内部告発」があり、県と市が調査する事態に。背景には、国の天然記念物「奈良のシカ」との共生をうたう古都特有の事情もある。
公園内の春日大社からほど近くにある屋外施設「鹿苑(ろくえん)」。
病気やけがを負った約30頭が保護されている一方、畑のわなにかかったり人にけがを負わせたりした約240頭を収容する二つの特別柵(雄と雌それぞれ約2500平方メートル)がある。
管理しているのは、一般財団法人「奈良の鹿愛護会」。
交通事故や病気で保護された鹿の治療に加え、特別柵の鹿の世話にあたってきた。年間約750万円のえさ代には県や市、春日大社からの補助金、鹿せんべいの売り上げの一部などを充てている。
特別柵に収容された鹿の健康状態は。奈良特有の事情とは。記事の後半で、動画とともに紹介しています。
特別柵は非公開ではないが、訪れる人は少ない。
9月上旬に記者が柵を訪ねると、骨が浮き出て、ところどころ毛の抜けた鹿が目に留まった。雑草を食べようと、柵の隙間から懸命に舌を伸ばす鹿もいた。
「極度にやせて衰弱死」
特別柵を巡る内部告発があったのは、8月から9月にかけてのことだ。
愛護会専属の獣医師である丸…
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- 【視点】
奈良の鹿愛護会は鹿苑の鹿のえさとなるドングリの寄付を受け付けていて、奈良市内の個人・団体を中心とする持ち込みによる寄付だけでなく、遠方から郵送で届く寄付もあると伺ったことがある。このニュースに触れて、鹿苑の鹿のことを心配されている方が各地に
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