「息子が友達と会えるように」 梨泰院事故1年、納骨決めた母の思い

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太田成美=ソウル 河野光汰

 160人近い命が奪われたソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)の雑踏事故から29日で1年を迎える。最愛の家族や友人を亡くした人、街のにぎわいを取り戻そうと営業を続ける商店主――。それぞれが深い悲しみを抱えながらも、再出発に向かって一歩を踏み出している。

 「布団も洗えなくて。まだ匂いがするから」

 梨泰院にほど近いマンションで暮らす金喜禎(キムヒジョン)さん(55)は長男の崔珉錫(チェミンソク)さん(当時19)を亡くした。珉錫さんの部屋は1年前から時が止まったままだ。学習机には遺骨が置かれ、友人らと笑いあう写真が飾られている。

 珉錫さんは看護学科で学ぶ大…

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この記事を書いた人
太田成美
ソウル支局
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー