自衛隊でセクハラを訴えた女性が、意に反する形で加害男性と面会をさせられた際の音声記録を入手しました。加害者を励ますような上司の言葉。密室のやりとりからハラスメント問題が相次ぐ自衛隊の実態に迫ります。
記事の後半では、面会で実際にやりとりした音声を公開しています。
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西日本の地方の街に暮らす20代の女性は、ゆううつな気分で2022年の師走を迎えていた。
職場で受けてきたセクハラのせいだった。女性は海上自衛官として自衛隊施設に勤めていた。
この年、自衛隊はハラスメントの問題に揺れていた。陸自で深刻な性加害が発覚し、約25万の全隊員を対象にハラスメントの実態を調べる「特別防衛監察」が行われ、岸田文雄首相は「性暴力を含むハラスメントは自衛隊の精強性を揺るがす決して許されない行為だ」と国会で力説した。
女性の心を壊すようなできごとは、そんな時期に起きた。
12月21日は、寒さの厳しい日だった。
倉庫で作業を終え、トラックで事務所に戻ったのは昼前。事務所のそばにつくと、同僚が女性に大きな声で言った。
「探しとるぞ」
所属部署のナンバー2が女性のことを探している。
嫌な予感がした。
12月に入ったころに、セクハラについて信頼する先輩女性に打ち明けていた。「これまでにされたこと」を紙に書いて渡し、先輩は対応に動いてくれていた。
加害者は同じ職場の、父親と同世代の男性自衛官だった。
紙に記したのはこんな内容だった。
2人だけになったときだけ名字ではなく名前で呼ばれ、頻繁に2人で飲みに行こうと誘われる▽胸の大きさや下着のこと、プライベートなことや性的なことについて聞かれる▽休憩所のベンチで隣に密着するように座られ、胸やふくらはぎを触られる▽ラブホテルに一緒に泊まろうと言われる――。
先輩女性に打ち明ける前にも…
- 【視点】
性犯罪の加害者を、どのように男性中心的なホモソサエティが守っているのかということが見える記事だと思いました。この組織の中で被害を打ち明け、闘い(今も続けている)ことに尊敬の念を抱きますし、この問題は加害者1人の問題ではありません。 心
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