野生のまま観察のために角切りせず、シカ飼育担当の職員死亡で県説明

垣花昌弘
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 島根県中山間地域研究センター(飯南町)で25日にオスのニホンジカに襲われたとみられる男性職員(64)が死亡したことを受け、県は26日、会見を開いて状況を説明した。シカは捕獲後10年間飼育しているが、これまで職員らが危険な目に遭ったことはなく、野生のまま観察するために角切りはしていなかったという。

 会見には松尾和巳所長らが臨んだ。男性職員は当時1人で、高さ2・5メートルの鉄柵に囲まれた2千平方メートルの放飼場の草刈りをしていたとみられるという。シカの角は長さ60センチで先端はとがっており、血のようなものが付着していたほか、職員のズボンや長靴には穴が開いていたという。

 角切りしていない理由について、県側は「どういう行動をして、どういう被害を起こすのか、野生の姿のままで観察する必要がある」と説明。研究目的で飼育しているため、「人慣れして自然の行動をしなくなることは避けるようにしている。愛玩動物のように可愛がることはしていない」とした。

 男性職員は2003年からセンターに勤務。13年に捕獲された今回のニホンジカの飼育などを担当していた。センターが今年6月に策定したマニュアルでは、飼育動物と十分な距離を取ることを励行していた。

 松尾所長は「大切な仲間を突然亡くし、痛恨の極み。県民の皆様にもご心配をかけて申し訳ない。重大な事故が起きたことを重く受け止め、必要な対策を取りたい」と述べた。(垣花昌弘)

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