囲碁名人戦 井山裕太完勝の譜、カド番から連勝 虎を縛ったものとは

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大出公二 北野新太 照井琢見
【対局中継】芝野虎丸名人ー井山裕太王座【第48囲碁名人戦・第5局2日目】

 碁のあらゆる可能性を求めて、千変万化の打ち回しで一時代を築いた井山裕太挑戦者(34)が、変化の余地をどんどん狭める逆のアプローチで完勝した。4度目の名人返り咲きをめざす第48期囲碁名人戦(主催・朝日新聞社、協賛・株式会社 明治)は開幕3連敗のあと2連勝。奇跡に向けて一歩近づいた。

完勝の鍵は「形」に

 碁には「形を決めない」「形を決める」という言い回しがある。

 「形を決めない」とは、局地戦で完全なる決まりはつけず、周囲の配石次第で戦いを蒸し返すなど二の矢を用意していることをいう。作戦の幅が広がり、機略縦横の策を講じやすい。かたや「形を決める」は、一切の後腐れなく局地戦を打ち切ってしまい、盤上にどんどん石を埋めて彼我ともに着手の選択肢を限定することをいう。局面が狭まり、作戦の焦点を絞りやすくなる利点がある。

 挑戦者は前者のタイプだと第5局解説の蘇耀国(そようこく)九段は言う。ところがカド番の本局では、形を決めにいく作戦がみごとに奏功した。

謝依旻七段(第5局ユーチューブ解説)へのインタビューも。名優ロバート・デ・ニーロの出る、ある映画を思い出したそう

 図1 黒番の挑戦者は左上と…

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