坊っちゃん列車運休に松山市長「大変残念」 事前協議はなし

戸田拓
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 【愛媛】観光列車「坊っちゃん列車」の運行を伊予鉄道松山市)が運転士不足を理由に11月から全便休止すると発表したことについて、松山市の野志克仁市長は24日の定例会見で「大変残念」と述べた。市は車両製作費などを補助した経緯があるが、伊予鉄から事前の協議はなかったという。

 会見で野志市長は「相談いただけなかったのは残念」と述べた上で、「伊予鉄は運行再開に向けて、乗務員採用と免許取得者の養成に取り組んでいるが、免許取得には数カ月必要だと聞いている」と同社の状況に理解も示した。早期再開に向け、市としてどんな支援ができるか担当部局などで協議していくという。

 市によると、坊っちゃん列車が2001年度に運行を始めた際に車両製作費として7450万円を負担し、16年度以降は車検のたびに400万円を補助してきた。市は坊っちゃん列車を観光コンテンツの目玉の一つと位置づけている。

 伊予鉄は1888年から1954年まで小型の蒸気機関車(SL)を松山市内で運行し、夏目漱石の小説にちなみ「坊っちゃん列車」の愛称で親しまれていた。中村時広知事が松山市長だった2001年、司馬遼太郎の小説を軸にした都市計画「『坂の上の雲』のまちづくり」の一環としてディーゼル機関車として復活した。SLに似せたレトロな車体で、白煙を吐き汽笛を鳴らして走る。復古調制服の乗務員3人が搭乗して土・日・祝日限定で、市中心部から道後温泉まで36人乗り2編成が運用されている。(戸田拓)

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