「パレスチナ問題はアパルトヘイト」 南ア、イスラエル批判の論理は
イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの武力衝突をめぐり、アフリカ諸国の対応が割れています。それぞれの国は、何を重視して対応を決めているのでしょうか。南アフリカ・ノースウェスト大のアンドレ・デュベンハーゲ教授(アフリカ政治)に聞きました。
――今回の衝突をめぐるアフリカ諸国の反応をどうみていますか。
アフリカ諸国の多くは、あまり(自国への)根本的な影響はないと考えているようです。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国の大半は、すでに危機を抱えています。内政問題や内部闘争があり、対外的なことよりも内政的なことの方が重要なのです。
一方、サハラ砂漠北部のイスラム圏になると、(パレスチナを支持する政権が多く)大きな影響があります。パレスチナを支援する国もあるでしょう。
南アフリカは、これらの中で例外的な存在です。歴史を振り返ると、南アは脱植民地化が遅れた国です。1994年にネルソン・マンデラ氏が初の黒人大統領になり、ようやく実質的な植民地を脱しました。一方、アフリカ諸国の多くは60年代に独立しています。
アパルトヘイト体制を支持したイスラエル
――歴史的背景の違いは、南ア政府の態度にどう影響しているのでしょうか。
南ア与党のアフリカ民族会議(ANC)は、アパルトヘイト(人種隔離)政策撤廃に向けた闘争の主体となった存在で、急進的なイデオロギーをもっています。解放闘争では、ロシアや中国、北朝鮮、キューバのような社会主義国と連携しました。現在も、こうした国とのつながりがあるのが南ア外交の特徴です。
アパルトヘイトの経験から…
- 今泉奏
- ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
- 専門・関心分野
- アフリカ、植民地主義、グローバルサウス
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