シンデレラ登用と女性ゼロの闇 背景に無限ループ 伊藤孝恵参院議員

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聞き手・松井望美

 9月の内閣改造人事は5人の女性が閣僚に起用された一方、副大臣・政務官はゼロだった。なぜこうした事態が生じたのか。政治の世界で女性リーダーを増やすにはどうしたらよいのか。会社員生活を経て子育てしながら選挙に挑戦して参院議員となり、現在は国民民主党の選挙対策委員長代理として女性候補者の擁立に取り組む伊藤孝恵さん(48)に聞いた。

 閣僚への「シンデレラ登用」と副大臣と政務官の「女性ゼロ」で見えた闇を通じて、日本政治の深刻な病巣が浮かび上がりました。

 今回、はっきりしたことは四つあります。一つ目は、岸田政権は本気で男女共同参画を考えていないこと。建前だけです。二つ目は、人材プールに女性が少なすぎること。三つ目は、各派閥からの候補者リストを丸のみする派閥政治の弊害。四つ目は、当選を重ねないと意思決定権者になれない当選回数の壁。特に若くして閣僚になるなら、二世、三世議員でないと難しい。こうした課題が見えた内閣改造人事でした。

なぜ誰も「おかしい」と言わなかったのか

 岸田文雄首相は「適材適所」と言いました。それなら、どういう能力、経験からその役職に起用したのか、説明すべきです。それを誰か、語っていたでしょうか。「派閥の論理」と表立って言えないから、「適材適所」と言うんです。

 副大臣・政務官に女性ゼロという名簿を見て、どうして誰も事前に「おかしい」と言わなかったのか。一般社会では多様性を採り入れるのが当たり前になってきました。しかし、永田町は高学歴の中高年男性という、きわめて同質性の高い人たちばかり。自分たちが浮世離れしていると気がつかない。おかしいこともおかしいと感じない。議員バッジを棺おけの中まで付けていきたい人たちが居座った結果ですね。

 家事も育児も介護も全部、他の誰かにやってきてもらった人たちがやっている政治が、いまの日本の息苦しさをつくっている。それを、変えなければいけません。

 では、そもそもなぜ国会議員の人材プールに女性が少ないのでしょうか。女性議員が増えない背景には、五つの壁があります。

 志を立てる壁。「女のくせに…

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2023年10月25日1時35分 投稿
    【視点】

    ■この「ド正論」インタビューを武器に、シンデレラ登用と女性ゼロの闇を粉砕せよ  「いい加減にしなさいよ、いまに痛い目にあうわよ」我々の怒りを徹頭徹尾代弁した、痛快な良インタビューであり、「ド正論」である。孝恵さん(まるで結婚披露宴の友人代

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