ブルトレ使った宿泊施設、再開へ寄付募る ふるさと納税で小坂町

吉田耕一
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 秋田県小坂町は町の観光施設「小坂鉄道レールパーク」の目玉だった簡易宿泊施設「ブルートレインあけぼの」の営業再開に向けて、ふるさと納税を募っている。あけぼのをはじめ、老朽化した園内の車両や施設の修繕に使う。年末までに350万円を集め、来春の宿泊営業再開を目指す。

 町総務課によると、小坂鉄道は東北最初の私鉄。明治期の鉱山鉄道として始まり、2009年に廃止された。同パークは、その小坂駅舎(国登録有形文化財)や車両、構内施設を活用して町が14年に開業した。

 あけぼのは、1970~2014年に上野(東京)と秋田・青森方面を結んだ国鉄~JRの定期寝台特急列車。廃止後に町が車両を譲り受け、16年から園内の旧駅舎前で宿泊施設の本格営業を始めた。ディーゼル機関車が朝夕、宿泊用の客車や電源車を構内で牽引(けんいん)。宿泊客は動くブルートレインの乗車体験ができる。

 町総務課によると、16~19年の年間宿泊者数は2千人前後で安定し、同入園者数も1万5千~1万8千人前後で推移。鉄道ブームを背景に全国から家族連れやファンが訪れたという。

 だが、コロナ禍で20年から宿泊営業を休止。あけぼのは塗装の劣化や電気設備の不良、雨漏りなど車両の老朽化もあり、いまだ営業が再開できない。パークは宿泊以外の営業を続けているが、客足はコロナ前の水準まで戻っていない。園内の他の車両や施設の老朽化も進み、保全や補修には相当の費用が必要だという。

 町は鉄道など小坂鉱山関連の近代化産業遺産を、にぎわい創出に生かそうと「活用なくして保存なし」とうたう。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」の中で、細越満町長は「園内の貴重な車両や施設をいかしながら未来にどう残して伝えていくかが課題だ」と支援を呼び掛ける。

 募集期間は12月31日までで、寄付の返礼品は、あけぼのでの車掌体験や宿泊券のほか、アカシアはちみつなど町の特産品も。詳細は「ふるさとチョイス」のサイト(https://www.furusato-tax.jp/gcf/2465別ウインドウで開きます)で。問い合わせは町総務課(0186・29・3907)へ。(吉田耕一)

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