各地の老舗を「出城」に つながる地方の百貨店、「相互出店」で活路

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永沼仁
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 地域経済の顔ともいえる老舗百貨店が、地場ならではの良品を互いの店舗で販売し合う「相互出店」の動きが埼玉・川越発で始まった。コロナ禍に伴う苦境が続くなか、老舗の強みを生かしてタッグを組み、大手とは違う道を模索している。

 「仙台銘菓の萩の月、ずんだ餅はこちらです」

 9月27日、埼玉県川越市丸広百貨店で「宮城ご当地フェア」が始まった。

 売り場は入り口近くの一等地。声を張り上げる丸広社員に交じり、仙台の老舗百貨店「藤崎」の社員の姿もあった。

 牛たん弁当やカキなどの水産加工品、こけしや織物など約250点の商品は、藤崎が宮城の特産として選んだ自慢の品だ。

 「目玉は白謙蒲鉾(しらけんかまぼこ)店の笹(ささ)かまぼこ。藤崎さんのお陰で初出店してもらえました」と丸広の催事担当者。「ふるさとの名店の味が川越で買えて助かる」と喜ぶ声も多く、初日は数時間で完売した。

 藤崎の担当者は「百貨店の看板が入ることでイベント性が増し、購買意欲が高まる」と丸広への出店効果を語った。

地方の老舗百貨店が担う役割とは

記事の後半では、地方百貨店に詳しい青山学院大教授の宮副謙司さん(流通論)に、地方の老舗百貨店が担っている役割や老舗同士が連携する意味合いについて、読み解いてもらいました。

 1949年創業の丸広は、「小江戸」と呼ばれる川越の繁華街に本店を構える。昨年度の売上高は384億円。郊外型ショッピングセンターに客足が流れるなどの影響で、売上高は縮小傾向が続く。1990年代は県内に11あった店も昨年、1店を閉店し、いまは5店にとどまる。

 日本百貨店協会によると、全国の百貨店を合わせた昨年の売上高は4兆9812億円。91年のピーク時に比べてほぼ半減した。店舗数も99年に最多の311店だったが、185店まで減少した。都心の大手は業績が回復しても、地方では苦境が続き、閉店の動きが今も相次ぐ。

 こうした中、丸広が打ち出し…

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