鉄道網維持など要望 中国知事会、共同アピール採択

原口晋也
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 中国地方知事会が16日、岡山県瀬戸内市で開かれ、鉄道ネットワークの維持や確保を含む基盤整備の要望など16項目からなる共同アピールを採択した。

 中国地方の鉄道をめぐっては、JR西日本が今月、広島、岡山両県を通る芸備線の一部区間について、国や沿線自治体と存廃を話し合う「再構築協議会」の設置を国土交通省に要請。また6月末の大雨の被災により、山口県を走る美祢線などでは運休が続いている。

 アピール文では、黒字地域が赤字地域を支える「内部補助」に言及。「JRの内部補助を含めたネットワーク維持に関する法的枠組みを国の責任で明確化する」よう求め、「全路線の収支が開示され、個別の路線のあり方が議論される仕組みとする」よう要請。協議会の設置や運営も「地域の実情に十分配慮すること」とした。また、災害の復旧を積極的に支援するよう求めている。

 山口県の村岡嗣政知事は「地域の公共交通全体としての持続可能性を議論する必要性はわかるが、被災したら事業者の責任で速やかに復旧させるのが基本。議論中だといって、復旧できないことにならないよう国の財政支援の拡充も求めたい」と発言した。鳥取県平井伸治知事は「国がコミットして鉄路をどう残していくのかが世界標準だ」と指摘。島根県の丸山達也知事は「被災したらJRが直してくれないかもしれないというリスクは、どの県でも起こりうる」と危機感を示した。

 知事の代理として出席した広島県の佐伯安史・経営戦略審議官は「(芸備線の)再構築協議会も一部区間の話でなく、広域的な視点で議論していく内容になっていくのではないか」。岡山県の伊原木隆太知事は「明日はわが身という認識を共有してもらった。それぞれの地域の生活を守るため一緒に取り組んでいきたい」と総括した。(原口晋也)

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