「常軌逸している」「患者への死刑宣告」 ガザ退避要求に怒りと批判

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

エルサレム=武石英史郎
[PR]

 イスラエルが13日、パレスチナ自治区ガザ地区北部の住民に24時間以内の退避を求めたことに対し、援助団体や国際機関から怒りと批判の声が相次いでいる。退避期限はその後、修正されたが、対象地域には110万人が暮らし、地区内で最大の都市や最大の難民キャンプ、負傷者であふれかえる病院もある。住民全員の避難は不可能な状況だ。

 「イスラエルがアルアウダ病院に対して、退避までに与えたのはあと2時間。私たちのスタッフは今も患者の治療をしている」

 国際医療組織「国境なき医師団」は13日夜、ガザ地区北部の病院で活動するスタッフの声をX(旧ツイッター)に連続投稿。医師団のトップは「イスラエルの要求は常軌を逸している。医療と人道に対する攻撃だ。可能な限り強い言葉で非難する」との声明を出した。

 ガザに本拠を置くイスラム組織ハマスが拘束するイスラエル人らの人質の解放に向けて、双方と接触してきた赤十字国際委員会(ICRC)も強く反応した。「イスラエルに対する恐ろしい攻撃があったからといって、ガザでの無制限の破壊を正当化することはできない。今回の退避要求は(ガザ地区の)完全封鎖とともに、国際人道法と合致しない」

 ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)の報道官は退避要求を「患者への死刑宣告」と表現した。WHOは声明で「ガザ地区北部で稼働している二つの病院が760床の収容能力をはるかに超え、数千人の患者に対応している。(避難者が向かう)南部の病院もすでにいっぱいだ」と指摘。「命を危険にさらすことなしに患者を移動させることは不可能だ。重傷患者や生命維持装置に頼る患者もいる」とし、退避要求の即時撤回をイスラエルに迫った。

「世界の指導者は声上げるべきだ」

 カタールの衛星テレビ局アル…

この記事は有料記事です。残り407文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

パレスチナとイスラエルの間で激しい武力衝突が起き、双方に多大な犠牲者が出ています。最新の動きをお届けします。[もっと見る]