「小さな幸せ」3人芝居、広がる共感 京の舞台を映画化、大阪上映へ

河原田慎一

 京都にある架空のショーパブを舞台にした3人芝居が、映画になった。登場するのは、2人のドラァグクイーンとそば屋のおかみだけ。笑いと涙のあるドタバタコメディーだが、描かれる「居心地のいい場所で過ごす小さな幸せ」に、共感が集まっている。

 3人芝居の「Moonlight Club」シリーズは、俳優の福山俊朗さんとシンガー・ソングライターの原田博行さんが京都市のライブハウスで開いた音楽トークショーでの「楽屋でメイク中のやりとり」から生まれた。

 「おねえ言葉でふざけてやりとりしていたのを録画して、トークショーで見せたらお客さんが『ショーより面白い』と」。そこに俳優の日詰千栄さんが加わって、福山さんと原田さんが女装してショーをするドラァグクイーンになりきる舞台が完成。ライブハウスをショーパブ「Moonlight Club」に見立て、コロナ禍前までにシリーズ16作品を公演した。

 だがコロナ禍で舞台での公演が難しくなり、福山さんは公演キャンセルが相次いだライブハウスを拠点に芝居を映画化。福山さんが脚本も書いてメガホンも取り、鴨川や喫茶店など京都市内各地でロケを重ねた。

 今年9月に京都市内で上映された3作目「Moonlight Club in LOVE」は、原田さん演じるドラァグクイーンの恋模様を描いた。主に口コミで評判が広がり、全席が完売。「何作目から見ても楽しめる、『寅さん』のようなシリーズ」になるのが目標だという。

 ドラァグクイーンを描くことで、性的少数者の生きづらさにも迫った。原田さんは「当事者が傷つかないことを念頭に置き、好意的に見てもらっている。あくまでエンタメ作品だが、カテゴリーに関係なく個人にとって幸せな世界をつくることが、世界平和につながると思う」と話す。

 京都に続いて大阪でも上映される。17日午後7時半から、大阪・十三のシアターセブンで特別先行上映がある。通常上映は11月4日から。一般1900円。(河原田慎一)…

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