「おひとりさま」の老後リスク誰にでも 身元保証トラブル避けるには
身寄りのない高齢者の増加に伴い、入院時の身元保証代行や、死後の葬儀、遺品処理などのサービスを提供する民間事業者が増えてきています。トラブルを避けるために利用者が気をつけるべき点や、いま求められることは――。「おひとりさま」高齢者の実態に詳しい日本総合研究所のシニアスペシャリスト、沢村香苗さんに聞きました。
身寄りのない「おひとりさま」の高齢者が増えています。私たちが単身世帯に実施した調査では、夫を亡くした高齢女性と、未婚の男性が多くいました。
物理的な数の問題だけでもありません。何か困っているときに、すぐにそれをわかって助ける人が周りにいないことが問題なのです。1人で暮らしているけど近くに子どもがいて毎週ご飯を食べているような人は困らない。逆に、高齢夫婦はどちらかが入院すればそれぞれが「おひとりさま」になるかもしれないし、子どもが遠くに住んでいたら様子もわからない。長寿化が進み、たとえば自分が100歳になったときには子どもも高齢者。支えてもらえるのかという問題もあります。
入院するときなどに保証人がいないという話は、最初にあらわれる課題です。あるいは、緊急搬送されて入院することになったけど、入れ歯は家に置いたまま。家族がいれば取ってきてもらえば済む程度の話ですが、誰もいなければ困ってしまいます。
また、介護保険という制度はあって、多くの選択肢から本人にふさわしいサービスを選んで契約することになっていますが、その手続きをする家族がいない。介護そのものも大変ですが、その手配も大変なのです。
医療はどうか。すごく調子が悪いなかでも終末期医療をどうするか考えないといけません。退院することになり、5階建ての団地にはもう戻れないから転居するにしても、新しい家を探したり契約したり、家を片付けたり。実際に動いて手伝う人がいません。
死んだ後、残った空き家やペットはどうするのか。自分の葬儀は誰がやってくれるのか。決めておいたとしても、「おひとりさま」が死んでしまうと、決めてあることさえ誰にもわからなくなる可能性があります。
介護保険のケアマネジャーらが本来の業務を超えて支えてきた部分もありました。しかし、事例が増えすぎ、これ以上は支えられないという声を聞くようになってきました。
さまざまなニーズに応えるように、民間の事業者が増えています。
では、どんなトラブルが起きているのか。国民生活センターに寄せられた相談事例を調べたことがあるのですが、実は、これもまた難しい。
印象深かったのは、たとえば…
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