それぞれの最終楽章・離婚した両親をみとって(3)
フリーライター 堀香織さん
昨夏、私は父の成年後見人を務める女性の運転する車で、金沢市にある家財整理事業社の倉庫へと向かった。床に並ぶ多数の段ボール箱などを見てうんざりはしたものの、父が最期まで手放さなかったものすべてに目を通すべきかも、と思い直し、遺品整理を始めた。
「腰、痛い……」
「これはいらんな」
ボヤきながら選別している間、彼女はなんだかうれしそうだった。「ああ! もー、しょうがないな、これも持って帰るか!」と言えば、「お父さんが『そうやろ香織、持って帰りたいやろ』と言ってますね」と笑った。
それは、倉庫の従業員も同じ…