女性働けるだけでは「不十分」 ノーベル経済学賞教授、日本への指摘
今年のノーベル経済学賞に選ばれた米ハーバード大のクラウディア・ゴールディン教授は、労働市場における男女格差の原因についての研究が評価された。9日に開いた記者会見では日本の労働市場にも触れ、格差解消への取り組みが不十分だと指摘した。
日本の女性の労働参加率がこの10~15年で改善したことを挙げ、「日本は本当に驚くべきことを成し遂げた」との認識を示した。
内閣府の「男女共同参画白書」によると、2021年の日本の女性就業者数は3002万人で、12年に比べ344万人増えた。一方で、男女賃金の格差(20年)は、男性の労働者を100とすると女性は77・5で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均(88・4)を大きく下回る。
ゴールディン氏は日本の女性の労働時間が短いと指摘し、「男性のように終身雇用されるような仕事に就いていない。女性を労働市場に参加させるだけでは十分ではない」と述べた。
会見では日本の労働政策についても触れ、父親の育児休業制度を「世界で最も寛容だ」と評価した。
国連児童基金(UNICEF)の21年の報告書では、日本の父親の育児休業制度は先進国を中心とした41カ国のうち1位だった。収入保障が手厚いとの評価だが、21年度の取得率は13・97%と国際的に低い。制度の利用が進まないのは「職場での影響があるからだ」との見方を示した。
研究は著書「なぜ男女の賃金…
- 【視点】
日本にある父親に対する育児休業制度が、ユニセフのランキングで1位であることを知り驚きました。ところが取得率は10%を少し超えるくらい...。 制度があればいいというわけではないことがよくわかります。ゴールディン教授は、「職場での影響が
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