漫画ネームアプリが広げる可能性 絵が描けなくても連載作家に?

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黒田健朗
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 絵が描けなくても、漫画のネーム(下書き)が作成できる。そんなアプリを、出版大手の集英社が提供している。「面白法人」を名乗る「カヤック」のクリエイティブディレクターで、開発の中心となった佐久間亮介さん(33)の思いとは。

 「人間の創作の可能性を拡張させる取り組みです」と、開発した佐久間さん自ら評する「World Maker」というアプリ。

 物語のアイデアがあっても、絵心がなかったり、絵が描けなかったりする人にとっては、漫画に挑戦するハードルが高かった。しかし、アプリを使えば、絵が苦手でもネームが作成できるという。

 ネームとは、漫画の原稿を描くうえでの下準備として必要な設計図のようなものだ。考えたストーリーをもとにコマ割りをし、簡単な絵や登場人物のセリフなどを落とし込んでいく。漫画家はこのネームをもとに、実際の原稿を執筆する。近年は漫画原作者がネームを作り、それをもとに作画担当者が描くケースも多い。だが構成や構図なども重要な要素のため、ネーム作成には相応のセンスや画力が必要とされる。

 このアプリで物語のアイデアのほかに必要なのは、指先などを使ったスマートフォンやタブレットの画面操作。複数の候補の中からコマ割りの形を決定し、表情やポーズが豊富なキャラクターのイラストや、背景、ふきだし、オノマトペ、集中線などを選んでコマの中に配置し、ネームを構成することができる。これらのパーツは計600万個以上あり、一部は有料だが、多くは無料で使用可能。漫画以外にも、映像作品の絵コンテを作れるほか、作品をアプリ内でSNSのように発信して他の人に見せることもできる。

漫画は、表現のユートピア

 「求められたものを実現させ…

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この記事を書いた人
黒田健朗
経済部|総務省担当
専門・関心分野
漫画、アニメ、放送