乱射事件で実弾120発を発見 銃大国タイ、違法流通の一端明らかに

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バンコク=大部俊哉
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 バンコク中心部のショッピングモールで起きた銃乱射事件で、逮捕された少年(14)の自室や現場から計約120発の実弾が見つかったことがわかった。タイは約1千万丁の銃が流通しているとされる銃社会。銃や実弾の購入には20歳以上であることのほか、さまざまな制限があるが、今回の事件から、実弾が違法に出回り、容易に手に入る実情の一端が浮き彫りになった。

 事件から2日が過ぎた6日朝。バンコク中心部のショッピングモール「サイアム・パラゴン」には、事件前と変わらず買い物客らが続々と訪れた。銃弾で割れた店舗のガラスは取り換えられ、営業を再開していた。

 入り口では職員が客のカバンの中身をチェックしていた。以前は金属探知機のみだったため、緊張が高まっていることをうかがわせる。韓国から観光で訪れた女性(32)は「怖いので迷いましたが、セキュリティーが強化されたとニュースで知って買い物に来ました。バンコクは安全なイメージだったのでショックが大きいです」と話した。

 乱射事件は3日夕に発生した。タイ警察によると、中国人観光客とミャンマー人従業員の計2人が死亡し、5人が重軽傷を負った。警察は殺人や殺人未遂、銃の不法所持などの疑いで捜査している。

 タイ警察が地元メディアの取材に答えた内容によれば、警察は現場のモール内や被害者の体から計約40発の実弾を回収した。少年の部屋の家宅捜索でも、約70発の実弾が見つかった。

 スマートフォンの解析などから、9月以降、空砲用の銃とともに実弾を国内の業者から購入したことを確認。警察は、実弾と銃を少年に売った疑いで、タイ最南部ヤラー県とバンコクの男3人を5日に逮捕した。

銃や実弾の所持条件は

 タイは民間の銃所有率が東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国のなかで最も高いとされる「銃大国」の一つだ。

 武器を取り締まるタイの法律…

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