損して得とれ 熊本市が「バス・電車無料の日」第3弾

森北喜久馬
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 熊本市内を走る路線バス、市電、熊本電鉄に7日の土曜日は無料で乗れる。市が昨年から試験的に始めた「バス・電車無料の日」の第3弾。過去2回の実績を分析したところ、中心街の人出が増えることで経費の6~8倍の経済効果があったとして継続を決めた。

 対象は、熊本市を一部でも通過する全ての路線バス、熊本電鉄の電車と市電の全線。さらに、コミュニティー交通が加わる。熊本市民でなくても、何度乗ってもよい。

 昨年12月24日と今年3月18日のいずれも土曜日に実施した。当日の利用者は1・5~1・7倍になり、その後の利用者も増えた。さらに自動車の市街地への流入が減り、2日間合計で約110トンの二酸化炭素(CO2)削減効果があった。

 市は無料乗車分を運行事業者に補塡(ほてん)するのをはじめ、PRしたり乗降客の多いバス停に警備員を配置したりする費用として1回あたり約2千万円を使った。無料の日をきっかけに市街地に来た人がお金を使った効果などで、1回目は1億1400万円、2回目は1億5700万円の経済波及効果があったと分析する。

 「損して得とれ」という狙いは当たったが、2回とも新型コロナが5類化する前で、特に1回目はクリスマスイブという特別の日。人出がコロナ前に戻りつつある今も、引き続き効果があるのかを確かめるため、市は今年度、10月7日と12月23日の2回実施する。

     ◇

 無料になるのは市街地ばかりではない。今回初めて、熊本市内で路線バスがあまり走っていない地域や、宇土、合志、益城、山都2市2町のコミュニティー交通も対象になる。

 宇土市では市街地を循環するコミュニティーバス「行長しゃん号」が無料に。7日だけでなく、行長しゃん号と、郊外と中心部を結ぶミニバス「のんなっせ」が2日から31日まで1カ月無料だ。

 市は、ルート変更のPRや、新型コロナのワクチン接種を促す目的で無料運行を繰り返してきた。運行10年を記念した昨年は、行長しゃん号の乗客が前年同期の1・8倍に増えた。今年度は10月実施を準備中に、熊本市から「一緒にやりませんか」と声がかかったという。

 山都町は熊本市と隣接していないが、熊本連携中枢都市圏に加入している縁で、今回参加する。

 無料となる「山都ふれあいバス」は、スクールバスを含めて32路線を運行。開始した2008年度は年間延べ4万6千人が利用したが、昨年度は1万6700人にまで落ち込んだ。

 町企画政策課は「町外の人にも、公共交通の良さに気づいてもらうきっかけになれば」と期待する。(森北喜久馬)

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