ワルシャワで数十万人が現政権に抗議 トゥスク氏「分断終わらせる」

ウクライナ情勢

牛尾梓
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 15日に総選挙を控えるポーランドの首都ワルシャワで1日、右派政権に抗議する大規模な集会が開かれた。欧州連合(EU)首脳会議の前常任議長で野党党首のトゥスク元首相が呼びかけた。AFP通信などによると、国内各地から集まった参加者が、ポーランド国旗やEUの旗を掲げてデモ行進した。

 地元メディアによると、「100万人の心の行進」と名づけられたデモ行進には60万~80万人が参加したという。この集会は、愛国主義を掲げ、反EU路線をとる保守与党「法と正義(PiS)」の政策に抗議したものだ。

 英紙ガーディアンによると、トゥスク氏は「国民を分断させる強権政治を終わらせなければならない。より良い方向への変化は不可避だ」と政権交代を訴えた。

 2015年から政権をとるPiSは、メディア規制や人工妊娠中絶の禁止、反移民、さらにはLGBTQなど性的少数者に対する差別的な政策など、EUの理念と相いれない政策を進めてきた。

 そんな中、総選挙では隣国ウクライナへの支援が争点の一つとなり、ウクライナへの積極的な軍事支援をしてきたポーランドとウクライナの関係に亀裂が入りかねない事態になっている。

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアが7月に、黒海を通じてウクライナ産穀物を輸出する枠組みから離脱。その影響で事実上黒海が封鎖され、陸路で安価なウクライナ産穀物がポーランドに流入した。この動きに不満の声を上げる農家を支持基盤とする与党のモラビエツキ首相は9月、総選挙を見据え自国の農業を守るため、EUによる規制撤廃後も独自の輸入規制継続を決定したほか、武器供与の停止にまで言及。ウクライナやEUに強く反発する態度に出ていた。牛尾梓

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