赤字ローカル線の再編、議論加速へ 自治体と事業者、国が協議の場

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高橋豪
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 赤字ローカル線の再編に向け、鉄道事業者と沿線自治体の議論を加速させる「再構築協議会」の制度が1日、始まった。国が協議に積極的に関わることで、議論や自治体の取り組みを促すねらいだ。人口減少に歯止めがかからない地方で、公共交通の将来像を描けるかの試金石となる。

 改正地域公共交通活性化再生法(地域交通法)が1日、施行された。

 新たな制度では、事業者や自治体の要請を受けて国土交通相が再構築協を設置する。3年以内を目安にバスなどへの転換や存続といった方針をつくり、実現に必要な費用の半分を国が補助する。まず対象となるのは、1キロあたりの1日の平均利用者数(輸送密度)が1千人未満の区間だ。特急や貨物列車が走るような「基幹的」な区間は当面対象としない。

 JR西日本は近く、広島県岡山県を結ぶ芸備線の備後庄原―備中神代間68・5キロについて、設置を要請する方針だ。

 従来の制度でも、事業者と自治体が協議する場をつくれたが、自治体が設置に消極的だったり、事業者が呼びかけても自治体が「廃線ありきだ」として反発したりするケースがあった。

 新制度では、国交相が設置を決めれば、自治体も議論に加わらなければならない。国の基本方針では、客観的なデータに基づき、路線の収支だけでなく、間接的に観光や住民生活などにもたらしている効果も考慮して存続や転換などの方針を決めるべきだとしている。

収支悪化の危機感 抱けなかった自治体

 多くのローカル線は、沿線の…

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