「売りたい本が店頭に置けない」 紀伊国屋書店が改革に乗り出す理由

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聞き手 尾沢智史
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 「出版流通の仕組みが成り立たなくなっている」――紀伊国屋書店会長の高井昌史さんは危機感を抱いています。本の未来を切り開くためには、どんな改革が必要なのか。書店は何をすべきなのかを聞きました。

     ◇

 10月2日に紀伊国屋書店、カルチュア・コンビニエンス・クラブ出版取次会社の日本出版販売が共同出資して、「ブックセラーズ&カンパニー」という書店主導の出版流通改革のための会社を設立しました。

 従来の出版流通の仕組みが成り立たなくなっているという危機感があります。本を書店に卸す取次会社も、取次事業は大きな赤字です。輸送コストも上昇しており、さらに物流業界で時間外労働の上限規制が全面的に適用される2024年問題があります。書店が、売りたい本を売りたいタイミングで店頭に置くことが、どんどん難しくなっているのです。特に地方の中小書店は深刻です。

 本の返品率も高止まりが続い…

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2023年11月2日10時36分 投稿
    【視点】

    高井氏はある雑誌の対談で、昭和の書店は連日満員電車のように混雑していたと述べています。平成の記憶ですが、私にもそんな思い出がかすかにあります。本は儲かるものだったわけですね。ですから、さまざまな書店イベントや地方講演も可能でした。面白い書き

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    永井靖二
    (朝日新聞社会部記者)
    2023年11月1日16時0分 投稿
    【視点】

    私事で恐縮ですが、もともとは理系(工学部工業化学科卒)の私が近現代史の取材を多く手がけるようになったきっかけは、まだ駆け出し記者だった1994年に、街なかの書店でたまたまある1冊の本を目にしたことでした。「日本のアヘン王」と呼ばれた人物の伝

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