子どもの「体験」民間が支援 元ソニー社長「効果見えなくても」

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編集委員・宮坂麻子 聞き手・編集委員 宮坂麻子

 教育の課題は山積しているが、国の予算にも限りがある。そんな中、民間が資金的なサポートをし、NPOや大学などが子どもたちに学校ではできない様々な「体験」を提供する動きが広がりつつある。この夏、そんな活動の現場を訪ねた。

経済的に厳しい世帯の女子高校生に IT&デザイン体験

 7月、千葉大学墨田サテライトキャンパス(東京都墨田区)。約20人の女子高校生がパソコンに向かい、熱心にポスターをデザインしていた。

 家計が苦しくITに触れる機会が少ない女子高校生に、デザインを通じて数学、科学などの「STEAM」教育を体験してもらうプロジェクト「IT&デザインプログラム IFUTO(いふと)」だ。

 困窮家庭の子どもを支援する認定NPO法人「キッズドア」が、「男子に比べて理系に進むことの少ない女子のキャリア形成につなげよう」と企画。ソニー元社長の平井一夫さんが立ち上げた一般社団法人「プロジェクト希望」のほか一般財団法人「三菱みらい育成財団」、IT企業「レノボ」が資金援助し、パソコン使用料、材料費、食費などはすべて無料だ。デザインに関する教育・研究組織である千葉大の「デザイン・リサーチ・インスティテュート」が会場を提供し、講師も派遣。デジタル関連企業「アドビ」なども協力して実施された。

なぜ、いま「体験」支援なのか―。記事後半には、私財を投じて支援する元ソニー社長、平井一夫さんへのインタビューも。子どもの「体験格差」を知り、支援に動いたといいます。

 7月は、デザイナーの北沢直…

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