神宮外苑再開発、「森」巡り応酬 イコモスのアラートに事業者が反論

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伊藤あずさ
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 明治神宮外苑地区(東京都)の再開発撤回を求める国際機関の主張に対し、事業者側が29日、「事実とかけ離れている」などと反論する見解を示した。国際機関が「貴重な都市の森」と位置づけたのに対し、事業者側は「『森』はわずか」と主張。立場の違いが鮮明となった。

 再開発は、神宮球場秩父宮ラグビー場の場所を変えて建て替え、超高層ビル2棟も新築する計画。837本を植樹する一方、700本以上の高木の伐採を予定しており、環境破壊などと批判が広がっている。

 再開発撤回を求めているのは、ユネスコ国連教育科学文化機関)の諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)。今月7日、危機的状況にある文化遺産を守る目的で発出する「ヘリテージアラート」を出した。神宮外苑を「世界の都市公園の歴史の中でも傑出した例」と評価し、「過去100年にわたって形成され、育まれてきた都市の森を完全に破壊することにつながる」と指摘した。

 一方、事業者側は29日に示した見解で、「神宮内苑の大きな森と異なり、外苑の計画エリアで一部の方々から『森』と称される場所は建国記念文庫の敷地のみ」と指摘。面積は再開発計画全体の約1・7%で、その樹木の多くを保存・移植すると説明した。イコモスのアラートの内容について「一方的に発信されている」とした。

イコモス側の代替案「実現性は限りなく低い」

 イコモスが影響を危惧するイ…

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2023年10月4日20時21分 投稿
    【提案】

    この問題、反対運動が急に注目されてしまったため、どうもイメージが先行している気がします。多くのひとは、あの場所の大部分が私有地だということも最近知ったのではないでしょうか(あるいはいまだ十分に知られていない?)。その背景には、さきの大戦の敗

    …続きを読む