鉄道・バス事業者3割が「赤字の回復不可能」 今後2年が正念場

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小沢邦男
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 岡山を拠点とする両備グループの研究機関「地域公共交通総合研究所」が、全国の鉄道やバス事業者にコロナ禍の影響を尋ねた調査結果をまとめた。111社から回答があり、「赤字の回復不可能」としたのは3社に1社。持続可能な経営には公設民営化といった制度改革を8割が必要とするなど、「地域の足」が直面している厳しい実態が浮き彫りとなった。

 2020年11月から定期的に調査を続けており、今回は5回目(5~6月)。全国のバス、鉄道、旅客船の計504社に郵送でアンケートを実施し、111社が回答した。

 輸送人員を19年度と22年度で比べたところ、「10~30%減」が68%で最多だった。20年の初調査時は「10~30%減」は14%だった。初調査時に過半数を占めていた「30~50%減」は12%に下がっており、マイナス幅の縮小がうかがえた。

 一方、累積損失額は今年3月末時点で「10億~50億円」との回答が33%。初調査時の13%から大きく増えた。コロナ禍で被った赤字は回復不可能と見立てた事業者は30%に。特に鉄軌道事業者は40%以上と高めに推移していたが、今回は52%に上った。

 またコロナ対策で、国や自治体から支援金や給付金を受け取ったとする回答は94%に上り、受給をやめたら68%は経営が成り立たないとした。補助や支援がない場合の経営維持は「24カ月以内」が62%を占め、今後2年が正念場という実情がみられた。

 持続可能な公共交通経営に向け、国や自治体の財源確保が「必要」としたのは96%。公設民営化や、自治体と協定を結び補助を受けて運行する「エリア一括協定運行」などの制度改革は76%が必要だとした。

 調査結果をふまえて同研究所…

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