第4回「ダメ親」のレッテルなくしたい 日本のケアラー、先進地で気づいた
小学生のころから母親のケアを担い、立命館大学でヤングケアラーについて研究している河西優さん(25)。今年、ヤングケアラー支援が世界で最も進んでいるとされるイギリスを視察し、学会で日本の現状について発表しました。現地での気づきについて話を聞きました。
――ヤングケアラーとしての歩みを教えてください
小学校高学年のころ、母親が精神的に不安定になりました。私と母親の2人暮らしで、主に感情の受け皿になってきました。高校時代、母親はやっと医療とつながり、統合失調症と診断されました。
大学院に進学してからは一人暮らしを始めました。今は3カ月に1回程度、大阪市の実家に帰り、祖父とおじ、おばと暮らしている母親の様子を見守っています。ケアの負担は家族の状況などにより時間とともに変わります。今よりも私が担うケアが増える可能性も想定しています。
ヤングケアラーは「18歳未満の子ども」とされていますので、シンポジウムや講演会では、自分のことを「若者ケアラー」と紹介しています。
――約2年前、当事者が集まる「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクト」(YCARP)を立ち上げました
発起人の一人です。当事者や支援者が悩みを共有するだけでなく、「社会へ発信したい」と集まりました。メンバーは数十人。月1回程度、オンラインミーティングを開いています。ほかには、当事者が話し合う「若者ケアラーのつどい」もあります。
――今回はYCARPの活動で2月と6月にイギリスに行きました
シェフィールド市のヤングケアラー支援団体「シェフィールド・ヤングケアラーズ」(SYC)を2月に訪れ、スタッフやヤングケアラーの親の話を聞きました。
SYCは「子どもたちには子どもたちの権利があり、その環境を整えていくことが大切」と考え、子どもの声をしっかり聞いて支援しています。それだけでなく、親や家族の支援に力を入れていることがすごいと思いました。そして集まった親たちが、安心してスタッフと話をしている。その「信頼関係」が印象に残りました。
「ダメ親」のレッテル、支援につながらず
日本だと、公的な福祉サービスを受けるのは「ダメな親」という「レッテル」が少なくありません。
私自身の経験として、ケアを…
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