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記事使用料で「独禁法違反なら調査も」 公正取引委員会の古谷委員長

明楽麻子
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 公正取引委員会の古谷一之委員長は25日、朝日新聞のインタビューに応じた。ヤフーなどニュースプラットフォーム(PF)事業者が、メディア各社に支払う記事の使用料を一方的に著しく低く設定することを含め、独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」の疑いで、調査する考えを明らかにした。

 公取委は21日、PF事業者と記事を提供する新聞などメディア各社の取引実態の調査報告書を公表し、ヤフーについて「優越的地位にある可能性」を指摘。また、記事使用料の水準はPF事業者ごとで1千PVあたり49~251円であると開示していた。

 古谷氏は、PF事業者について、「違反があれば調査に入る」と明言。ただし、PF事業者とメディア各社の交渉を促した今回の報告書をふまえて「両者が改善の道を探ることに期待したい」と述べた。民主主義の健全性を保つうえでは人々の健全な選択や合理的な判断が確保されることが不可欠とし、「公正な競争環境を通じて、良質なコンテンツが提供され続けることを期待する」とも語った。

 報告書を受けてヤフーが、メディア各社との契約の見直しを検討すると表明したことについては「自主的な改善に向けて、メディア各社との関係構築を含め、前向きな方針を示したものと受け止めている」と話した。

 一方、アップルなどの自社サービス優遇や配信アプリの課金方法の制約に懸念も表明した。欧州連合(EU)で、デジタル空間での公正な競争環境の整備を目的とした「デジタル市場法(DMA)」が5月に施行されたことを挙げて、新しい事前規制のルール作りの必要性を指摘。「政府が行う独禁法を補完するような新しいルール整備について、公取委も積極的に参画していきたい」と述べた。(明楽麻子)

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