田中麗奈さん演じた変わり者 「福田村事件」暴走する群衆に異唱えた

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聞き手・戸田拓
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 1923年9月の関東大震災の5日後、千葉県福田村(現・野田市)で行商団9人が殺された悲劇を題材にした映画「福田村事件」(森達也監督)が、各地で公開されている。

 映画は、香川県から来た薬の行商団が朝鮮人と疑われ、震災の混乱に乗じて襲ってくると疑心暗鬼に陥った自警団に、子供や妊婦を含む9人が殺害された史実に基づく。

 朝鮮から夫・智一(井浦新さん)の故郷である千葉に移り住んだ妻・静子を演じた俳優の田中麗奈さんに作品への思いを聞いた。

 ――出演の経緯を教えてください。

 打診を受けた一昨年、本当に驚きました。約100年前に起きた事件を私は知らず、「こんな残酷なことがあったのか」とショックでした。私のこれまでの出演作とはまったく気質が異なる映画で、「自分が呼ばれるのは何かの間違いでは」とも思いました。

 でも、今まで日本映画が取り上げてこなかったテーマで、ご一緒できるのはすごい機会だと感じ、勇気を出して飛び込みました。

 ――静子は、村のあぜ道を洋装に日傘で歩く裕福な育ちの女性。それが事件の目撃者となります。

 静子を行商団の薬売りが訪ねる場面があります。心細さを感じていた静子は、薬を勧める少年の純真さに触れ、ひたむきな姿に救われました。それが終盤、行商団を助けようと、声を上げることにつながったのです。

 ――朝鮮人への差別や行商団の部落問題などに触れた作品です。どんな反応を想定していましたか。

 歴史の「闇」を取り上げたこ…

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