「弥生人」とは何者か。縄文時代から日本列島に住む在来の人々と、海外から先進技術を持ち込んだ渡来人が徐々に混血しながら弥生文化を担う――。そんな人類学上の通説だった弥生人観が、近年急速に進む核ゲノムの分析で様変わりしようとしている。
紀元前後の約千年にわたり展開した弥生時代。その幕を開けたのが、水田稲作や金属器文化を携えて北部九州沿岸部に現れた、朝鮮半島からの渡来人だ。
彼らは遺跡から出土する骨の形の違いから、前代の縄文人とは姿がまったく異なるとされてきた。背が高くてすっきりした顔立ちの渡来人。対して、がっしりした肢体で彫りの深い在来系。両者は徐々に混じり合いながら現在の日本人を形作ったとされる。この説は「二重構造モデル」と呼ばれ、定説となっている。
ところが、2010年代に登場した核ゲノム分析でこれが揺らぎ始めた。ゲノムとはすべての遺伝情報のこと。細胞の核が持つ情報量は、それまで分析対象の主流だったミトコンドリアDNAよりもはるかに多い。不可能と思われてきた古人骨の核の遺伝子分析を最新機器が可能にした。
18年、日本人の起源をさぐ…