世論に見る平成の内閣⑳

 朝日新聞は1946年から世論調査を実施しています。過去の調査を繰り、歴代内閣を振り返るシリーズを随時配信します。

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 不測の事態に備え、食料はできるだけ国内でまかなおうという食料安全保障の考え方が、穀倉地帯を抱えるウクライナへのロシア侵攻で注目を集めています。こうした中、農林水産省の審議会が9月、有事の食料安保のため農家に増産を指示できるようにすることなどの検討を求めました。

 農政といえば、ひところは市場開放、つまり外国から迫られる農産物輸入にどう対応するかが焦点でした。中でもコメの部分開放を1993年に決断した細川護熙内閣は、農家や関係団体の矢面に立ちました。

 コメの市場開放は、各国が貿易の自由化を交渉するウルグアイ・ラウンドでテーブルにのせられました。7年に及ぶ交渉の末に93年12月、農業分野では原則として、関税以外の輸入制限措置を、関税に置き換える「関税化」で合意します。

 細川内閣は自民党が下野した93年夏、8党派の連立政権として発足。この年12月の交渉期限間際に、コメの関税化を6年間受け入れない代わりに、輸入量を段階的に増やすという部分開放を閣議決定します。

 関税化の猶予を受ける理屈として使われたのは、ここでも「コメは基幹的食料だから」という食料安保の考え方でした。

 直後の12月調査では、政府の決定を「支持する」が50%、「支持しない」が38%でした。

 政権にとっては、5年前の88…

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