中国の有名大学、相次ぎ東京に分校 「日本の私大より上位」勝算は?

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小早川遥平
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 中国の総合大学が、日本国内に相次いで分校を開設している。国際ランキングの高さや、存在感を増す中国企業への就職支援を打ち出し、日本や中国以外の外国籍の学生も取り込む。「日本にいながら有名大学の学士が取れる」と売り込むが、定着するかは未知数だ。

 東京・四谷のビルの1フロアに6月、五つの教室を備える大学のキャンパスが開設された。「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深圳の総合大学、深圳大学の「東京校」という位置づけで、同大初の海外分校だ。

 主専攻は中国語で、教員は中国の本校が派遣。卒業時には本校と同じ学士を授与する。3年次に半年間の本校留学があるほか、中国語の基礎力がある場合には2~3年間で卒業も可能という。

 米誌「USニューズ」のランキングで「世界で271位」と、日本のトップ私大を上回る国際ランキングの高さをアピール。IT大手「テンセント」の日本支社の見学やインターンシップなど、成長著しい中国企業への就職支援も掲げる。

 学費は初年度122万円で、外国人が本校に留学する場合の約2倍。本格的に募集を始める来春は50人、将来的には毎年100人募集し、定員は計400人になる予定だ。

日本企業と提携、経営は独立

 2006年に神戸市に開校した天津中医薬大学など、中国医学を専門にする大学の分校は以前からあった。最近は、上海大(19年)、曁南(じなん)大(21年)などの総合大学が中国語教育を掲げて東京に進出している。文部科学省が指定する「外国大学日本校」にも北京語言大学(15年)を含めた4校が指定されている。現在、数百人の学生が在籍する分校もあり、深圳大も指定校に申請中だ。

 深圳大の1期生は5人。高野宗一朗さん(24)は3月まで働いていた会社を辞め、入学した。転職を考えていたとき、中国語の検定試験の会場で同校を知ったのがきっかけだ。

中国の大学が相次いで日本に分校を開いています。中国の大学、提携先の日本の事業者、それぞれの狙いを取材しました。

 「中国に行ったことがなく…

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この記事を書いた人
小早川遥平
上海支局長
専門・関心分野
中国社会、平和、人権
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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2023年9月28日18時41分 投稿
    【視点】

    ハンガリーの首都ブダペストには上海の名門復旦大学のキャンパスが計画されていますが、頓挫しています。当初予定していた24年の開校はどうみても難しそうです。中国と距離が近いオルバン政権は誘致に積極的でしたが、地元から人権問題や安全保障などの観点

    …続きを読む