化学物質過敏症の女性、実態伝えるパネル展 下京で

滝川直広
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 「街を歩いていると突然舌がしびれる」「空気が焦げ臭い、あるいは石油臭い」――。日々こんな症状に悩まされている人がいる。身の回りの化学物質に反応して体に不調が表れる化学物質過敏症(CS)。20年にわたってCS患者の女性が、京都市下京区の下京いきいき市民活動センターでCS啓発のパネル展を開いている。

 「化学物質過敏症・香害・SDGs」展。堺市在住の山口尚恵(ひさえ)さん(52)が企画した。センターの1階ロビーに、夫の秀也さん(60)や子供らの協力を得て作製したパネルやCS患者らの手紙のコピーを展示している。

 20年ほど前、自宅のリフォーム中にシックハウス症候群になった。自宅の換気や食品に気をつけて、いくらか体調はよくなったが、10年ほど前から消臭や除菌効果をうたった柔軟剤や洗剤の香料で再び悪化した。いわゆる「香害」の被害が続いている。

 2年ほど前からは、マスクをして街なかを歩いていても舌がしびれたり、自宅で空気清浄機を稼働させていても空気が石油臭かったり焦げ臭かったり感じるようになった。展示を見に訪れた京都市内のCS患者の親子も、同様の症状が出ていると話した。

 展示ではCS患者を苦しめている「マイクロカプセル」について紹介。これは中に香料を入れてあるごく微小な粒で、時間をおいて壊れるようになっている。空気中に香料を放出し、繊維についた香料は長時間匂いを放つ。カプセルはメラミンやポリウレタンの樹脂で、壊れたカプセルはマイクロプラスチック同様、海洋汚染の原因にもなる。

 CSで苦しんでいる人がいた場合、周囲の人たちが「アクティブ・バイスタンダー」(行動する傍観者)になろうとも呼びかけている。窓を開けて換気を試みたり、CSについて正しく知ったりしようとする人らを指す。

 山口さんが活動を始めたのは昨年秋から。自分の思いを投影させたキャラクター「不安虫」(ファンチュウ)を創作。不安虫が語る動画も配信している。

 パネルは実物を貸したり、データを送信して現地で印刷したりする形で全国での開催を望んでいる。山口さん夫妻は「全国でパネル展を開いて実績を重ね、国会で香料使用などに法規制がかかるようにしたい」と話している。

 連絡はメール(slowlearner02@ybb.ne.jpメールする)かX(旧ツイッター、@cyu_fan)のダイレクトメッセージへ。下京での展示は10月5日まで。無料。火曜休館。(滝川直広)

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