「本物でなくまやかしのスポーツ」イラン女性選手、母国に抱える思い
パリ=宋光祐
2024年夏にパリで開催されるオリンピックについて、イランを追放するように求める運動がフランスで起きている。イスラム教の戒律を理由に、イラン政府がボクシングや水泳などの種目で女性選手の国際大会出場を禁じていることが、あらゆる差別を禁じた五輪憲章に違反するとの理由からだ。
「他の国の女性たちと同じように普通にスポーツをできるようになることはイランの女性の夢です」
在フランスのイラン人らでつくる市民グループが今月13日にパリで開いた記者会見。難民として暮らすオランダからオンラインで参加した、イラン人の元レスリング選手シリン・シルザドさんがこう訴えた。
レスリングはイランの国技で、国内外の大きな大会はテレビで中継されるほどの人気スポーツ。女性が取り組むこと自体は禁じられていないが、イスラム教を国教とするイランの法律が障害になる。
イランでは、女性は公共の場で髪の毛を隠すヒジャブ(ヘジャブ)と呼ばれる布の着用、肌や体の線を隠すことが法律で義務づけられている。
手足露出なら法律違反→事実上出場できず
手足の肌や体の線が露出する…