第1回皿洗い中に涙、3児の母が陥った孤育ての闇 夫は「いいとこどり」

有料記事わたしの孤独

長野佑介
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 「毎日毎日、同じことの繰り返し。きょうも誰にも自分の気持ちを話せなかったな」

 午後8時半。長野市の女性(32)は、キッチンで皿洗いをしながらそんなことを考えていた。考えているうちに、涙が止まらなくなった。

 すぐ目の前にあるリビングには、夫(35)や子どもたちもいるのに。

 涙が乾かぬうちに、夫が冷蔵庫にお茶を取りに来た。夫は女性をちらりと見て、気付いたようだったが、何も声をかけてはくれなかった。

 「さみしいな。孤独だな」。そう思った。

 「孤独・孤立はだれにでも生じうる」として、その対策を行政の責務とする法律が来春、施行されます。連載「わたしの孤独」では、独りぼっちの体験談からその解決の糸口を考えていきます。初回は「孤育て」に苦しむ母親の物語です。

首をつかんで「いい加減にしろ」

 女性は知人の紹介で知り合った住宅設備機器メーカー勤務の夫と、2016年に結婚した。

 女性自身は保険会社で正社員として勤務しながら、小学1年の6歳の長女、4歳の長男、0歳の次男の3人の子を育てている。

 共働きなのに、炊事・掃除・…

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2023年10月22日17時0分 投稿
    【視点】

    私の大学時代の友人は誰ひとりSNSをしていません。FacebookもX(旧Twitter)もインスタも、です。彼女たちの夫はしているのに。 子どもは3歳まで母親が育てるべきという3歳児神話がまだ色濃い時代、彼女たちはその風潮と闘いながら仕事

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2023年10月22日20時40分 投稿
    【視点】

    わたしの気持ちをわかってもらえない、わたしの立場を理解してもらえないといったことからくる孤独感。その孤独感を分かち合ったり、打ち明けたりする機会がないことに苦しむ。この記事で取り上げられているように、一人でいるときでなくても、誰かと一緒にい

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