HIV検査の結果が来ない 1年待った男性が知った刑務所の「うそ」

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田中恭太
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 裁判で国が出してきた資料を見て、男性(53)はあぜんとした。

 男性がHIV検査を受けた6日後に、「陽性」の結果が出ていた。

 その結果は約1年間、男性に知らされないままだった。男性は不安な日々を過ごし、実際にエイズを発症した。

 男性は怒りに震えた。

 「ずっとうそをつかれていたんじゃないか」

「早期発見・早期治療」が基本

 東京都内に住む男性は2009年、強盗事件に関わったとして逮捕された。11年に懲役13年の実刑判決が確定し、横浜刑務所に入った。

 以前は半年に1回のペースでHIV検査を受けていた。複数の人と交際歴や性的接触があったため、検査への意識が高かった。

 かつては「不治の病」のイメージが強かったが、現在はHIVに感染しても治療でウイルス量を抑え、エイズ発症を防げる。「早期発見・早期治療」が基本だ。検査で感染を早く知れば、自分の治療だけでなく、パートナーの早期発見にもつながる。

来なかった「検査結果」

 収容からしばらく経ち、男性は「久しく検査を受けていないな」と思い立った。就寝時に発汗するなど、体調不良が気になっていた。

 逮捕されてからは感染するリスクはない。だが、その前に感染していた可能性は否定できない。

 刑務所側へ検査を申し出て、13年4月に血液検査を受けることができた。

 しかし、結果はいくら待っても来なかった。本来なら2週間もすればわかるはずだ。

 仮に陽性なら、発症してしまうかもしれない。逮捕前に接触があったパートナーの命にも関わる。

 不安が募った。

 刑務所では週2回、准看護師

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