PFAS血中濃度、9人中6人「指標超え」兵庫・明石川エリアの住民

天野剛志
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 健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)をめぐり、京都大の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)と兵庫県議の丸尾牧氏は21日、明石川流域の明石市民の血中濃度を発表した。対象の9人のうち6人が健康リスクを予防する指標値を超過していたといい、「水道水が原因と考えられる」と指摘した。

 PFASは国際的に問題が指摘され、環境省が2019年度に全国の主な河川と地下水などでPFASを代表するPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)について調査した。

 その結果、国の暫定目標値が両物質の合計値で1リットル当たり50ナノグラムなのに対し、明石川は105・4ナノグラム(水道取水口)と県内一の高い数値だった。

 そこで今回、明石川を水源とする水道水のエリアの9人を抽出し、両物質などの血中濃度を調べた。

 小泉氏によると、学術団体の米国アカデミーが示した指標値「血液1ミリリットル中、7種類の物質の合計値が20ナノグラム」に対し、今回の9人は12~55ナノグラム(平均26ナノグラム)で、3人が指標値を超えた。

 またドイツ環境庁の専門委による指標値「血液1ミリリットル中、PFOSが20ナノグラム、PFOAが10ナノグラム」についても6人がPFOAの値が超過していたという。

 環境省によると、現時点ではPFASがどの程度で健康に影響が生じるか不明なため、日本国内に血中濃度に関する基準はない。

 小泉氏は「今回の調査で、人の体内には指標値を超えるPFASが残っていることが判明した。ただちに個々の健康の被害に結びつくものではないが、今後、市は本格調査をし健康状態も追跡してほしい。早急に排出源も突き止めてもらいたい」と話した。

 明石市の水道をめぐっては明石川を水源とする明石川浄水場のPFOSとPFOAの合計値が19年度で1リットル当たり46ナノグラムと、国の暫定目標値の50ナノグラムに迫ることが判明。市は明石川の水を使うもう1カ所の浄水場とともに活性炭を増やし、今年6月時点にはそれぞれ5ナノグラムと7ナノグラムまで低下した。(天野剛志)

PFASとは

 PFAS PFOSとPFOAが代表例。水や油をはじき、熱に強い性質があり、半導体の製造工程や、空港、コンビナートなどの泡消火薬剤に使われてきた。だが自然界で分解されにくく「永遠の化学物質」と呼ばれ、人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されている。国内では2021年までに製造・輸入が原則禁止されている。

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