深刻なインフレ、国軍の策は「身柄拘束」 ミャンマー国民の生活困窮

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ヤンゴン=笠原真

 国軍が2021年にクーデターで全権を握ったミャンマーで、食用油など生活必需品のインフレが深刻化して市民生活が窮地に追い込まれている。国軍は、価格を抑えるために、経済政策に携わってきた幹部や実業家を次々と拘束するという強権的なやり方に出ているが、物価安定の効果ははっきりとは表れていない。

 9月中旬、最大都市ヤンゴンの市場。何本もの空のペットボトルを手に、数百人が食用のパーム油を求めて行列をなしていた。この光景は今、ミャンマーの日常だ。

 雨期でも気温は30度を超す。無職のキンエーミンさん(70)は午前4時から10時間、日傘を差しながら並んでやっと購入した。「疲れたけど、大事なのは油を買うこと。これで今夜のカレーが作れるよ」と話した。

 店主のティンティンアウンさん(50)によると、最近2週間で客は増え続け、多くて1日600人が並ぶ。「商売できるのは良いが、横入りする人が多くてケンカも起きる」と言う。

 市場価格は日々変動し、この日は現地単位で1ビス(約1・6キログラム)あたり4750チャット(約330円)。だが6月には6千チャット、8月には1万チャットに跳ね上がっていた。

■インフレの背景に「二重相場…

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