武器は再エネ テレ朝・山口豊アナが見た、追い込まれた地方の逆転劇

有料記事気候変動を考える

聞き手・香取啓介
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 テレビ朝日アナウンサーの山口豊さん(55)は、地球温暖化に危機感を抱き、全国各地の再生可能エネルギーの現場取材を続けています。特集を切り出した動画は100万再生を超えることもあります。共感を生んだのは、再エネを武器にした「地方の逆転ストーリー」でした。

 ――もともとアナウンサーとしての入社です。気候変動に興味を持ったきっかけは?

 「報道ステーション」のリポーターを2006年から10年間やりました。08年にグリーンランドを取材し、氷の大地がどんどん解けて、滝のように数百メートル下の岩盤まで流れ落ちていました。ただごとじゃない、本当に気候変動は大変だと感じました。でも、まだ当時は遠い場所の出来事と感じていました。

 15年にマーシャル諸島に行った時の経験も大きいです。年に数回、大潮の時に1メートルぐらい海水につかってしまう。水が引いた後も、井戸に海水が入って飲めないという大変な状況でした。帰る時に現地の人から「この島で、こんな災害が起きていることを皆さんはどう感じているんですか。私たちがどうしたらいいのか皆さんに考えてもらいたい」と言われました。この言葉も胸に残っています。

 決定的だったのは、10年ごろから日本で毎年のように豪雨災害の現場を取材したことです。気づくと夏場は半分ぐらい、豪雨の被災地を回っている。18年の西日本豪雨では、被災者の方がみんな「こんな大雨経験したことがなかった」「今まで大丈夫だったのに」とおっしゃいました。

炎天下の被災地で味わった無力感

 それまでも毎年、豪雨災害の被災地の状況、現場が何に困っているかとか、次に大雨が降った時にどう備えればいいかなどを伝えてきました。

 それでも毎年、被害が起きて多くの方が苦しむ。炎天下、豪雨で崩れた現場を歩く中で無力感を味わいました。もっと根本的なことを伝えないと、この悲劇は繰り返される。強烈な雷に打たれたような感覚でした。

 実は日本こそが気候変動のものすごい影響を受けると、そこでつながりました。

 ――それから再生可能エネルギーの現場取材に?

 継続して取材するようになったのは、この7年です。16年10月に岡山県真庭市を取材しました。木質バイオマス発電に力を入れていて、街が非常に元気になっているのを目にして、そこで確信しました。

 今まで、気候変動対策、二酸…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年9月21日21時12分 投稿
    【視点】

    勇気が出る記事。気候変動による負の影響、多くの人が目を背けたくなってしまう絶望的な内容のみでなく、プラスの部分を伝えることが大事と改めて肝に銘じることができました。山口さんのようなメディア関係者がもっと多くなって欲しいと切に願います。 山

    …続きを読む