消したかった「あいつの臭い」 援助交際繰り返す少女を変えた出会い

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松本江里加
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 ある日の夜、福岡県内のマクドナルド。高校2年の少女はポテトをテーブルに並べ始めた。

 1本、2本、3本……。

 「1日最高何人を相手したと思う? それでも、あいつの臭いが消えんやった」

 援助交際で補導された少女は、実父から性的虐待を受けていた。

 福岡県警少年育成指導官の安永智美さん(60)にそのことを明かしたのは、出会って何カ月も経ってからだった。

 いわゆる「非行少女」だった。ネットで援助交際の相手を募集しているのを、警察の「サイバー補導」が把握した。接触した警察官が身分を明かすと、少女はうんざりした顔で「さ・い・あ・く」とつぶやいた。

 少女は「お金のため」と言って援助交際を続けていた。警察官が危険を諭しても、「これまでに何百回もしたけど怖い目に遭ったことは一度もない」と、悪びれる様子はなかった。

 安永さんは根気強く電話をかけたりメッセージを送ったりして、約3カ月後、月に3回ほどの面談ができるようになった。

 約束の時間に来なくても、すっぽかされても怒らない。援助交際の話もしない。

 「楽しかったことや嫌なことはあった?」 「心の天気は?」

 雑談を続けた。

 ある日の夜、少女から初めて「食事に連れて行って」と電話があった。

 マクドナルドの店内で、いつものように雑談した。おなかがいっぱいになったころ、少女はポテトを並べながら話し始めた。

 「消したい臭いがあるんやね…

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