岸田首相の身内びいき 経済学者が語る「縁故主義」と民主主義の危機

有料記事

聞き手 編集委員・豊秀一

 岸田文雄首相の長男や親族らによる昨年末の首相公邸での「忘年会」。安倍政権下での森友・加計学園問題。東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件……。汚職の構造を研究する経済学者、溝口哲郎・高崎経済大学教授は、一連の問題の背景には「縁故主義」があるという。どういうことなのか、話を聞いた。

     ◇

 ――そもそも、縁故主義とはどういうことなのでしょう。

 「血縁や縁戚などによってつながる人を、そうでない人よりも優遇する考え方です。血縁でつながった人でないと信用できない、という発想がもともとあります。世界史的には、中世のカトリック教会で世俗的権力を持った高位聖職者が、後継者に自分の息子をネポス(甥(おい))と称し、登用したことから始まったと言われています。縁故主義が『ネポティズム』と言われるようになったゆえんです」

冷戦後の世界、強化された縁故主義

 「具体的には、政治家などが…

この記事は有料記事です。残り3461文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません