「日本は嫌いだけど」 中国から福島に迷惑電話かけた18歳の本音

[PR]

 「小学校のころから歴史問題が理由で、ずっと日本が嫌いだった。日本人と会話すること自体も人生で初めてです」

 中国北方の海寄りの地域に住む18歳の男性は、電話口で語り始めた。

 男性はその6日前、中国から福島県内のラーメン店に電話していた。東京電力福島第一原発処理水の海洋放出が始まったことに抗議するためだった。

 高校卒業後は進学せずに働いているという。なぜ福島の店に「迷惑電話」をかけたのか――。男性は時折詰まりながらも、その経緯を明かした。

 多くの日本人が、処理水放出の決定に賛成しているというニュースを見た。

 「ネット上で、この番号に電話している人を見て、自分もかけてみようと思いました」

 なぜ賛成なのか、直接聞いてみたかったという。ただ、その時点で結果の重大性には気づいていなかった。

 「電話は、放出が始まった8…

この記事は有料記事です。残り777文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2023年9月21日7時0分 投稿
    【視点】

     片隅を照らすような記事ですね。小さな取材、大きな意味。そんな読後感です。  日中関係は人々のレベルがいのち。私もそんな風に思って社会対話を続けていた時期があります。その相手の方々は、いま海外に亡命しているか、国内で拘束されているか、そうで

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2023年9月22日0時8分 投稿
    【視点】

    中国特派員時代に最も印象深い取材は「日本人に会ったのは、話したのは、あなたが初めて。いや外国人はあなたが初めて」と言われた数々の取材です。めちゃくちゃ苦労してアポイントを得たはずの高官や企業トップに対するもの以上の宝物です。 奥深い農村の

    …続きを読む
福島第一原発の処理水問題

福島第一原発の処理水問題

東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出計画をめぐり、国内外の動きが激しくなっています。関連記事はこちら[もっと見る]