一つよければ生活できる 3・11「その時そして」海のドン(9)

有料記事

東野真和

 漁業の経営を安定させるため、「漁獲共済」という制度がある。不漁の年は、過去5年間の漁獲金額の最低と最高の年を除いた3カ年の平均額を基準に補塡(ほてん)される。当然、不漁の年が続くと補塡額も減る。サンマの漁獲金額は2019年に前年の半分近くまで減り、その後も低水準が続くため、補塡額は減少傾向だ。

 そうした中、鎌田水産(岩手県大船渡市)は「多角経営」で不漁という困難を乗り切ろうとしている。

 同社は東日本大震災後、広い冷凍・貯蔵施設を整備したことで、出荷を調整できる利点がある。また、他地域から仕入れて加工する仕事を増やせば、赤字をある程度、吸収できる。

 昨年は大船渡に多くの船が集まったこともあり、全国の漁獲量、漁獲金額とも一昨年より減るなか、大船渡では漁獲量が24%増え、金額も16%増えた。

 さらに同社の鎌田和昭会長(77)は「多角経営は他にも利点がある」とも。

 鎌田会長は父から養殖の漁業…

この記事は有料記事です。残り268文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません