「温暖化対策と山火事対策はイコール」 CO2排出が招く悪循環
人の命や暮らしを襲う大きな山火事が世界中で起きている。専門家らは地球温暖化による高温と乾燥が影響していると指摘。化石燃料を燃やし、二酸化炭素を排出し続けたツケは大きい。
山火事は自然界では落雷などで適度に発生することで、枯れ葉などが燃えて新たな種子の発芽を促すなど、生態系の維持にも一役買ってきた。ただ、気候によっては、火は自然鎮火せずに燃え広がってしまう。直接的な原因は雷のほか、たき火の不始末や漏電など人為的な失火だったとしても、温暖化を背景にした高温や乾燥が火災を大きくする状況をつくっているとされる。
今夏にカナダでは山火事が多発した。カナダの公共放送CBCによると、ケベック州のシブーガモでは6月に周辺が大規模に焼け、約1万人が1週間近く避難を余儀なくされたという。近くの鉱山会社で働く、ジェン・タンガイさん(52)は「人だけじゃなくクマも森から逃げ出して道路に出てきたのを見た人もいる。これまでこんなことはなかったのに」と話す。
異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」(WWA)は8月、カナダ東部で今年5~7月に多発した山火事について分析し、温暖化によって火災が起きやすい気候になる確率が2倍以上になっていると報告した。
チームは、気温や風速、湿度、降水量を組み合わせた「火災気象指数」を分析。今夏は高温で乾燥し、風が強い日が多く、リスクの高い日が昨年までより多かったという。
温暖化が「発火の可能性と延焼リスクを高める」
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