第3回BMがささやいたライバルの「新情報」 疑心暗鬼に陥る損保ジャパン

有料記事ビッグモーター・損保ジャパン 蜜月の代償

柴田秀並 多鹿ちなみ

 破竹の勢いで規模を膨らませるビッグモーター(BM)は、自社で扱う自動車保険のシェアが最も多かった損害保険ジャパンに対し、次第に要求をエスカレートさせていった。

 「出向者をあと10人増やしてほしい」

 2019年度に届いた要求に、損保ジャパンの営業部門は肝を冷やす。

 「増員できなければ他社に出向を求める」

 足元を見るかのような揺さぶり。出向はBMへの「忠誠の証し」(関係者)だ。むげに断れば保険の取り次ぎで不利な扱いを受け、ライバル他社の侵食を許しかねない。

 危機感を抱いた営業部門は慌てて人事部に申請を出したが、「すでに複数出している」と断られた。営業部門内でやりくりし、何とか10人を確保したという。

 売上高にあたる正味収入保険料が2兆円を超える大企業、損保ジャパン。そこまでしてなぜ、BMに付き従っていたのか。

 そこには損保業界、そして損保ジャパン固有の事情があった。

連載「蜜月の代償」

ビッグモーターで発覚した保険金請求をめぐる不正の数々は、財界トップも輩出する大手損保の一角、損保ジャパンの社長辞任に発展しました。両社の蜜月関係はいかに築かれてきたのか。その代償とは。関係者への徹底取材をもとに、全5回で報告します。

 1998年に保険料が自由化…

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この記事を書いた人
多鹿ちなみ
経済部
専門・関心分野
エネルギー政策、人権、司法
ビッグモーター問題

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