施設は無事だ、やるんだ! 3・11「その時そして」海のドン(2)

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東野真和

 大津波が三陸の沿岸を襲った2011年3月11日午後。岩手県漁業協同組合連合会(県漁連)の大井誠治会長(88)は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の会合で東京にいた。

 震災から2日経っても新幹線が復旧しない。全漁連の公用車を借り、緊急車両の許可を取って高速道を走った。盛岡で1泊して14日の早朝、組合長を務める宮古漁業協同組合(漁協)に戻った。

 丘の上にある漁協の事務所は無事だったが、魚市場は津波に壁が突き破られ、屋根と骨組みだけになっていた。製氷工場も津波をかぶって使用不能だった。

 しかし、大井会長は、港に底引き網船が11隻、無事につながっているのを見逃さなかった。津波が来る前に沖に出して難を逃れたのだった。

 高台にある施設は無事で、氷…

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