G20首脳宣言を「救った」グローバルサウス 妥協引き出した舞台裏

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ニューデリー=石原孝 半田尚子 鬼原民幸 清宮涼
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 インドの首都ニューデリーで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は、9日に首脳宣言を採択した。しかし、開幕直前まで、ウクライナ情勢にまつわる文言をめぐり、G7主要7カ国)などの欧米諸国とロシア・中国の溝は埋まっていなかった。首脳会議を決裂の危機から救ったのは、メンバー国のうち「グローバルサウス」と呼ばれる国々だった。

 「私が言いたいのは、(宣言採択に)非常に重要な役割を果たしたのは新興国だった、ということだ」。9日午後、記者会見した議長国インドの外務省高官はそう述べて「ブラジル南アフリカインドネシアと緊密に協力した」ことを明かした。

 G20は、2008年の発足以来、サミットで首脳宣言を採択してきた。採択は全会一致が原則だ。今年は、首脳宣言のとりまとめを不安視する声があがっていた。ウクライナ情勢に対する意見が割れていたからだ。首脳宣言が採択できない事態となれば、G20発足以来初めてのことになる。

 宣言の文案交渉に関わったある外交官は「ロシアのウクライナ侵攻を強い言葉で表現したいG7と、反発するロシア、それに味方する中国という構図だった」と振り返る。

 サミットに向け、妥協点を探る交渉が続いた。だが、開幕3日前になっても、宣言の文案の中のウクライナ情勢にかかわる部分は空欄のままだった。

議論の「中間」示したのは

 膠着(こうちゃく)状態が動…

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